アマテラス「地上界は、我が子、天忍穂耳が治めるべき国である」という言葉に、天忍穂耳は地上界に降りようと天の浮橋に立った。下界の様子を眺めた天忍穂耳は「地上界は騒々しいところだ」といって、アマテラスに伺いをたてた。
そこで、タカミムスヒとアマテラスは神々を集めた。
「葦原中国（地上界）は我が子が治める国であるが、乱暴な国津神が多くいる。どの神を遣わせたらよいか」
アマテラスの呼びかけに、思金神や他の神々が相談して答えた。
「天菩比（アメノホヒ）を遣わせるとよいでしょう」
このアメノホヒを遣わしたが、大国主神に媚びて三年たっても帰らなかった。
そこで、タカミムスヒとアマテラスは再び神々に問い掛けた。
「葦原中国に遣わしたアメノホヒは久しく帰ってこない。次はどの神を遣わせたらよいか」
すると思金神が答えた。
「天津国玉神の子、天若日子（アメノワカヒコ）を遣わすとよいでしょう」
そして、天のまかこ弓と天のはは矢を天若日子に授けて葦原中国へ遣わした。
しかし、天若日子は葦原中国に降るとすぐに、大国主神の娘、下照比売（シタテルヒメ）を娶って、その国を自分の物にしようと企んで、八年も帰らなかった。
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