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古事記「天の石屋戸」を探る

石屋戸に隠れたアマテラスを招き迎える場面である。神々が相談し石屋戸が開くまでの様子は、古代祭式の姿を反映している。尚、この場面で大活躍する天宇受売命(アメノウズメ)は巫女神で、鎮魂祭との関わりがあるようである。
この説話「天の石屋戸」は様々な解釈がなされている。
(1)太陽神(アマテラス)が隠れるとする日蝕説
(2)暴風神(スサノヲ)の乱暴に怒った農業神(アマテラス)の話とする説
(3)太陽神(アマテラス)の死と復活を表したとする説

古事「天の石屋戸」あらすじ

あらゆる神々が天の安河原に集まった。タカミムスヒの子、思金神(オモヒカネ)に善い策を考えさせた。

まず常世長鳴鳥を集めて鳴かさせた。
次に堅い岩と鉄を採ってきて鏡を作らせ、勾玉を通した長い玉の緒を作らせた。
また天の香久山の雄鹿の肩骨を焼いて占い、神意を伺った。天の香久山賢木には勾玉や八咫鏡が懸けられ、神聖なものとして捧げられた。また祝詞が唱えられ祝福された。

そして天宇受売命(アメノウズメ)が天の石屋戸の前で舞踏を始めた。アメノウズメが神がかりして、乳房をかき出し陰部をあらわにして舞うと、神々が大笑いした。

外の賑やかな様子を怪しいと思ったアマテラスは、天石屋戸を少し開けて言った。
「私が隠れているから、高天原も葦原中国もすっかり暗闇になっているものと思ったのに、どうしてアメノウズメは舞をし、神々が笑っているのか」
アメノウズメが答えた。
「あなたにもまして貴い神がいらっしゃるので、喜んで笑い舞っているのです」

そのようなやり取りの間に、アマテラスの前に八咫鏡を差し出すと、いよいよ不思議に思い、アマテラスは鏡に映った自分の姿をのぞきみした。

その瞬間、脇に隠れていた天手力男神(アメノテヂカラヲ)が、アマテラスの手を取って、外へ引き出した。
すぐにアマテラスの後ろにしめ縄が引き渡され、そこから内へは戻って入れなくなった。

こうしてアマテラス、高天原も葦原中国も明るく照らされたのである。

古事記 「天の石屋戸」語句解説

常世(とこよ):
海の彼方にある永遠の世界。

長鳴鳥(ながなきとり):
声を長く引いてなく鶏。その鳴き声は邪気を払い陽光を招く。

天の香久山(あまのかぐやま):
大和三山の一つ。

八咫鏡(やたのかがみ):
大きな鏡。

賢木(さかき):
神霊の依りつく緑の常緑樹。

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古事記を探る

(1999/5/14)