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古事記「泣くスサノヲ」を探る

亡き母恋しさに、大人になるまで泣きつづけたスサノヲ。感情豊かなスサノヲの性格は、神というより、喜怒哀楽を持つ人間のようでもある。昇天するとき、山川や国土をゆり動かしたことから、スサノヲは暴風雨神であろうといわれている。

高天原へ凄まじい勢いで上ってくるスサノヲを、アマテラスは男装をして迎え撃とうとする。

古事記 「泣くスサノヲ」あらすじ

それぞれが父イザナキに任された国を治めていたが、スサノヲだけは自分の国を治めようとしなかった。大人になって髭が長くのびても泣きわめいていた。
その泣く様は青々と繁った山が枯山となり、河海は泣き乾いてしまうほどてあった。そのため悪い神の騒ぐ声が充満し、多くの禍が起きた。

その様子をみてイザナキがスサノヲに尋ねた。
「何故、おまえは任せた国を治めず、泣きわめくのか」
スサノヲが答えた。
「私は亡き母に会いたくて、母が住む根の堅州国にいきたくて、泣いているです」
これを聞いたイザナキは大変怒って、
「ならば、おまえはこの国に住んではならない」
といい、スサノヲを追放した。

そのイザナキは淡海の多賀に鎮座している。

それからスサノヲは
「ならば、アマテラスに申し上げてから根の堅州国に行こう」
と天へ上っていった。スサノヲが天へ上る様子は山川が動き、国土が震えるほどであった。

その音を聞いたアマテラスは驚いて、
「私の弟が天へ上ってくるのは、善き心からではあるまい。我が国を奪うつもりに違いない」
というと、髪を解いて角髪に束ねた。髪や手にたくさんの勾玉を貫き通した長い玉の緒を巻きつけ、体には弓矢を射るための武具を身につけた。

アマテラスは雄々しく勇ましい姿で待ち受けて、スサノヲに尋ねた。
「何故、上ってきたのか」
これにスサノヲが答えた。
「私に邪心はありません」
そして、父イザナキとのやりとりを話して、いった。
「根の堅州国へいく事情を申しあげようと、参ったのです。謀反の心はありません」

古事記 「泣くスサノヲ」語句解説

根の堅州国(ねのかたすくに):
地の底にあるとされた下界。

淡海の多賀(あふみのたが):
イザナキの終焉地を表す。これもいくつかの説がある。
@滋賀県犬上郡多賀町の多賀神社
A兵庫県淡路島津名郡一宮町のイザナキ神社

角髪(みづら):
髪を左右に分け、耳のあたりで束ねた男子の髪型

勾玉(まがたま):
半月形に曲がった玉で、メノウ、碧玉などで作られた。

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(1999/3/16)